個人事業主として開業する
自分一人で0からビジネスを立ち上げる場合、まずは個人事業主から開業をする方が多いです。その場合、「開業届」を税務署と都道府県税事務所に提出します。これにより、自分の屋号の名義の銀行口座やクレジットカードを所有することができます。また、税務署への開業届は事業開始日から1か月以内に、都道府県税事務所への提出は15日以内にそれぞれ提出しなければなりません。
法人成り
個人事業主として事業を開始し、途中で法人化することを「法人成り」といいます。弊社も最初は個人事業主としてスタートしましたが、8か月で法人成りしました。いつ、どのようなタイミングで法人成りすべきかは、各々のビジネスに置かれる状況(売上額や従業員、今後の事業戦略など)によりけりです。シミュレーションに強い税理士など専門家にご相談した上で慎重に検討するようにしましょう。一般的には年商が1000万を超えると法人化した方が節税面においてメリットがあると言われています。
個人事業主と法人の比較
では、個人事業主と法人はどのように違うのでしょうか。その特徴やメリット・デメリットをまとめました。
個人事業主 | 法人 | |
開業時の提出必要書類 | 少ない | 多い |
設立費用 | 安い | 高い |
信用度 | 低い | 高い |
資金調達 | 不利 | 有利 |
決算日 | 12月31日 | 自由に設定 |
節税効果の範囲 | 狭い | 広い |
社会保険への加入義務 | 5名までは不要 | 必要 |
法人の設立費用は確かにかさみますが、社会的信用度は個人事業主と比較にならないぐらい高いです。やはり個人事業主の方は法人になることを目標にしてみてはいかがでしょうか。
株式会社と合同会社の比較
ところで、「法人=株式会社」というわけではありません。例えば合同会社や合名会社、合資会社、NPO法人、一般社団法人や財団法人など、法人は数多くの種類があります。その中で、「合同会社」とはどんな法人なのでしょうか。株式会社との比較を以下にまとめました。
株式会社 | 合同会社 | |
設立の登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
信用度 | 高い | 低い(知名度) |
代表者 | 代表取締役 | 代表役員 |
役員の任期 | 最大10年 | 任期なし |
決算公告義務 | あり | なし |
上場 | 可能 | 不可能 |
出資者 | 株主 | 社員 |
役員 | 自然人 | 自然人或いは法人 |
公証人による定款認証 | 必要 | 不要 |
合同会社の場合、設立時においては確かに株式会社よりも設立費用は抑えられますが、いかんせん「合同会社」自体の認知度が低く、最初は合同会社として登記したが、後になってから「やはり株式会社がいいかな…」といって株式会社へ組織変更をする、というケースが結構あります。しかし、逆のケース(株式会社から合同会社へ組織変更)は全く聞いたことがありません。それであれば最初から株式会社として登記をした方が安上がりなのです。
法人として開業する
法人として開業するにあたっては様々なステップがあります。
- 会社設立事項の決定
- 定款の作成
- 定款認証
- 印鑑の作成
- 金融機関へ資本金の払込み
- 登記書類の作成・申請
0.事前に用意すべきもの
- 代表取締役・取締役・発起人の実印と印鑑証明書
- 代表取締役又は取締役と、発起人を兼ねる方は印鑑証明書を2通
- 印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のもの
- 実質的支配者となる方は身分証明書(運転免許証、旅券等)も必要
- 発起人の本人名義の銀行通帳(発起人が複数の場合はどなたかお一人分)
1.会社設立事項の決定
「会社設立事項」とは、その名の通り、会社設立にあたって必要な事項のことです。具体的には以下の通りです。
- 商号(会社名)→法務局にて商号調査をする必要があります。
- 本店所在地
- 資本金
- 会社設立日
- 事業年度(決算日)
- 事業目的→「古物営業法に基づく古物商」などの記載があることが望ましいです。
- 株主/役員/発起人の氏名又は名称及び住所→住所・氏名は印鑑証明書と一字一句違ってはいけません。
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- 発行可能株式総数
2.定款の作成
1の会社設立事項で定めた内容に基づき、定款を作成します。
その際、作成した定款をCD-Rに保存しますが、それとは別に「登記すべき事項」の項目も同時にCD-Rに保存します。
3.定款認証
作成した後は公証役場に行き、認証してもらいます。この認証を受けることにより、はじめて定款の効力が生じます。公証役場は、本店所在地のある都府県の公証役場に行きます。また、公証役場にて定款認証を受ける前に、事前に委任状及び公証人の事前確認が必要です。公証役場に持参すべき主なものは以下の通りです。
- 記録媒体(例:CD-R)
- 委任状+定款
- 電子署名を行った発起人以外の委任状(発起人が複数いる場合)
- 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
- 認証手数料(50,000円前後)
- 定款の謄本代(2,000円程度)
- 実質的支配者となるべき者の本人確認書類
- 発起人全員の実印
※北海道は札幌・函館・旭川・釧路の各法務局の管轄地域内の公証役場に行きます。
※合同会社の場合定款の作成のみでOKです。公証人による認証は不要です。
※上記の持ち物はあくまで一例です。こちらについても公証役場に改めて確認する必要があります。
4.印鑑の作成
個人の印鑑とは別に、法人の印鑑を作成しなければなりません。これに関してはインターネットなどで注文することができます。そして、完成した印鑑を法務局に届け出て、印鑑証明書を発行してもらいます。また、法人の印鑑を作成するのと同時に銀行印やゴム印を作成するのもいいでしょう。
5.金融機関へ資本金の払込み
- 自分名義の口座に自分名義で振込む
- 定款認証後、株主たる発起人の銀行口座に資本金を払い込みます。例えば、株主が自分一人しかいない場合は、自分の口座に資本金を払い込みます。その際、振込人の名義は出資者(発起人)の名前が印字されるようにします。
- 通帳の「表紙」「1ページ目」「振込をしたページ」のコピーを取る
- 通帳のコピーが必要です。表紙と表紙をめくったページ(氏名・口座番号の記載と銀行印が押印されているページ)と払込をしたページの計3枚です。
- 払込証明書を作成し、通帳のコピーと一緒に綴る
- 払込証明書を一番上にして、通帳の「表紙」「1ページ目」「振込をしたページ」の順に左端2カ所をホチキスで留めて冊子状にして綴じます。
- 書類の継ぎ目中央に会社代表印(法人印)を押印する
- 4で作成した法人の印鑑を使用します。(個人の実印ではありません。)
- 法人設立の完了後、法人名義の口座を開設する
- 資本金の金額を個人名義から法人名義へと移行する
6.登記書類の作成・申請
法務局に申請する登記書類は以下のようなものがあります。
- 設立登記申請書
- 定款
- 発起人決定書
- 取締役就任承諾書
- 代表取締役就任承諾書
- 取締役全員の印鑑証明書
- 会社実印+印鑑届出書
以上の登記書類が揃ったら、資本金払込後2週間以内に法務局に申請します。
郵送でも申請できますが、窓口に直接申請する方が早くて確実であり、その場で質問したりすることも出来ます。また、このタイミングで登録免許税15万円分の収入印紙が必要になります。
窓口に持ち込む場合は一度法務局に書類を確認してもらい、問題がなければ収入印紙を購入し、申請用紙に貼り付けをするという流れになります。郵送の場合はいきなり15万円分の収入印紙を申請用紙に貼り付けなければならず、書類に不備があった場合のリスクがあります。
会社設立日は手続き完了日ではなく登記申請書を提出した日となります。郵送の場合は書類が法務局に到着した日です。登記は原則として申請日翌日から3執務日以内で完了します。また、1-2週間で登記簿謄本が取り寄せ可能になります。
会社設立後の手続き
【法務局】印鑑カードの交付を受ける+印鑑証明書と登記簿謄本を取り寄せる
印鑑証明書ができたら法務局で「印鑑カード交付申請書」を作成して窓口に持参し、印鑑カードの交付を受けます。これは、法務局の窓口にて印鑑証明書を取り寄せる際に必要となります。
銀行口座の開設など、会社の設立時にはなにかと印鑑証明書が必要になりますので、登記簿謄本とともに数枚取り寄せておくと後々便利です。
【税務署/都道府県・市町村税事務所】法人設立届の提出
法人設立届出書以外に青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書等が必要となりますが、必要書類に関する詳細は管轄の税務署にお問い合わせ下さい。また、税務署だけでなく都道府県税事務所、市町村役場への届出も必要となりますが、提出書類は税務署の者と同等です。
会社設立後に提出すべき税務書類
提出期限 | 提出書類 | 提出先 |
5日以内 | 新規適用届 新規適用事業所現況書の添付書類 履歴事項全部証明書 賃貸借契約書 口座振替依頼書 | 年金事務所 |
15日以内 ※東京都のみ | 法人設立届出書 定款の写し 履歴事項全部証明書 | 都道府県税事務所 |
市区町村によりけり ※東京都以外 | 法人設立届出書 定款の写し 履歴事項全部証明書 | 市区町村役所 |
2か月以内 | 法人設立届出書 定款の写し 履歴事項全部証明書 設立時の貸借対照表 株主名簿の写し(株式会社) | 税務署 |
3か月以内 | 青色申告の承認申請書 | 税務署 |
できるだけ早めに | 口座開設申込書 定款の写し 履歴事項全部証明書 法人印鑑証明書 届出済の会社実印 銀行印 代表者の身分証明書 | 金融機関 |
【年金事務所/労働基準監督署/ハローワーク/健康保険組合】労務関係の手続き
経営者も含めて社会保険は全員加入する必要があります。また、日本年金機構の事務所である年金事務所では、健康保険の加入手続きも一括で行うことが可能です。
従業員がいる場合は労働基準監督署とハローワークにて、それぞれ労災保険と雇用保険の手続きをしなければなりません。
会社設立後に提出すべき労務書類
提出期限 | 提出書類 | 提出先 |
採用日から5日以内 | 被保険者資格取得届 健康保険被扶養者届 ・国民年金3号被保険者資格取得書 ・被扶養者となる者の収入状況がわかる書類 ・同居用件が必要な場合は住民票など扶養事実を証明できる証明書 | 年金事務所 |
雇用日の翌日から10日以内 | 雇用保険用事業者設置届 ・履歴事項全部証明書 ・労働者名簿 ・賃金台帳 ・出勤簿またはタイムカード 雇用保険被保険者資格取得届 ・労働者名簿 ・賃金台帳 ・出勤簿またはタイムカード | ハローワーク |
雇用日の翌日から10日以内 | 労働保険関係成立届 ・履歴事項全部証明書 ・賃貸借契約書 | 労働基準監督署 |
雇用日の翌日から50日以内 | 労働保険概算保険料申告書 | 労働基準監督署 |
1回目の給与支払い日まで | 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 |
【金融機関】法人口座の開設
印鑑証明書・登記簿謄本等の必要書類を金融機関に提出し、法人口座を開設します。その後、資本金の金額を個人名義から法人名義へと移行します。
行政書士リーガルプラザの会社設立サポート 料金と業務の流れ
行政書士リーガルプラザでは、会社設立サポートのサービスをご用意しました。会社設立の書類作成はとにかく煩雑で時間が掛かります。そこは書類作成のプロである行政書士にお任せ下さい!
業務内容 | 価格 | 別途必要な登録免許税 |
---|---|---|
株式会社設立サポート | \33,000 | \150,000+\52,000(電子定款認証諸手数料) |
合同会社設立サポート | \22,000 | ¥60,000 |
商号変更 | ¥11,000 | ¥30,000 |
目的変更 | ¥11,000 | ¥30,000 |
本店移転(管轄内) | ¥11,000 | ¥30,000 |
本店移転(管轄外) | ¥14,300 | ¥60,000 |
役員変更 | ¥14,300 | ¥10,000 |
役員の氏名・住所変更 | ¥5,500 | ¥10,000 |
支店の設置・移転・廃止 | ¥14,300 | \60,000(移転・廃止は\30,000) 支店が管轄外の場合、支店法務局1庁ごとに登録免許税9000円+手数料 300円が別途必要 |
監査役の設置・廃止 | ¥5,500 | ¥30,000 別途役員変更も必要 廃止の場合は、役員変更分の登録免許税(通常10000円)も加算される |
会社設立サポートの特徴と注意事項
- 弊所が行う業務は書類作成+公証役場への定款認証までです。法務局への申請は代表者ご自身で行っていただく必要があります。
- 神奈川県限定のサービスとなります。神奈川県以外はサービス対象外となります。
- お申し込み・ご入金から登記完了まで概ね2か月ほどかかるものとお考え下さい。
- 定款認証手数料、印紙代、登録免許税など公証役場や法務局などで発生する各種手数料は別途必要となります。なお、公証役場にて必要な手数料は以下の通りです。
- 定款認証手数料:50000円
- 定款謄本手数料:2000円(2冊)
- 定款印紙代:
40000円→0円(電子認証システム採用の為)
例えば弊所にて株式会社設立サポートをご依頼される場合は、サポート価格33000円+定款認証緒手数料52000円の合計85000円が必要となります。それとは別に、法務局にて登録免許税の印紙代150000円をお支払いいただく必要がございます。
業務の流れ
- お問い合わせフォームにてお申し込みください。
- 頂いた情報に基づき、見積書を作成します。
- ご入金が確認でき次第業務開始となります。
- 代表取締役・取締役・発起人の実印と発行3か月以内の印鑑証明書と発起人の本人名義の銀行通帳(発起人が複数の場合はどなたかお一人分)、をご用意するとともに、新たに設立する法人の印鑑を作成してください。
- 定款作成のためのgoogleフォームを別途送信しますのでそちらに必要事項をご入力ください。
- 頂いた情報に基づき弊所にて定款を作成します。
- 完成した定款案と委任状をお客様宛に送付しますので、そちらに発起人全員の実印で割印をし、返信用封筒にて弊所宛てに返送してください。
- 返送され次第、弊所で公証役場にて定款認証の手続きをします。
- 認証された定款をお客様宛に送付します。
- 資本金の払い込みをお願いします。
- 必要書類を確認の後、法務局へ申請してください。
お客様 | 行政書士リーガルプラザ | |
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1 | お問い合わせフォームにてお申し込みください。 | |
2 | 頂いた情報に基づき、見積書を作成します。 | |
3 | ご入金が確認でき次第業務開始となります。 | |
4 | 代表取締役・取締役・発起人の実印と発行3か月以内の印鑑証明書と発起人の本人名義の銀行通帳(発起人が複数の場合はどなたかお一人分)、をご用意するとともに、新たに設立する法人の印鑑を作成してください。 | |
5 | 定款作成のためのgoogleフォームを別途送信しますのでそちらに必要事項をご入力ください。 | |
6 | 頂いた情報に基づき弊所にて定款を作成します。 | |
7 | 完成した定款案と委任状をお客様宛に送付しますので、そちらに発起人全員の実印で割印をし、返信用封筒にて弊所宛てに返送してください。 | |
8 | 返送され次第、弊所で公証役場にて定款認証の手続きをします。 | |
9 | 認証された定款をお客様宛に送付します。 | |
10 | 資本金の払い込みをお願いします。 | |
11 | 必要書類を確認の後、法務局へ申請してください。 |
いち経営者としてのアドバイス
弊所では法務局への申請は(司法書士法に抵触するため)残念ながらできません。しかしながらいち経営者として思うこととして、自分の会社は自分の子と同じです。例えば自分の子の出生届は親権者である自分が提出することは当然であり、自分の会社もまた同様です。法務局へ申請書類を提出した日が会社設立日となり、すなわち会社の誕生日となります。会社設立日はその会社が続く限り変更できません。それ故、法務局への申請は代表者ご自身で行っていただく方がベストであると考え、会社設立のサポートは書類作成+定款認証までとさせていただきます。
事業用物件のご紹介
リーガルプラザは神奈川県宅建協会横浜北支部に所属しており、事業用物件のご紹介が可能です。会社設立と並行して事業用物件をお探しの方は是非ご相談ください。